言葉遣い一つで評価も左右されてしまうこともあるのがビジネスシーン。皆さん、自分の言葉遣いに自信はありますか?
私たちが企業研修を行う中でも、新入社員の方から既に接客に携わってきた方まで、受講後のアンケートの感想で「様々な敬語があるので、実践の場で使えるか不安が残る」「相手や立場によって使い分けられるか自信がない」という声を耳にします。
言葉遣いで相手を敬う気持ちを表せたら、相手からの印象が良くなり、上司だけでなく目上の方やお客様とも良い信頼関係を築くことができます。
今回は、頻繁に使う敬語や言葉遣いを15のシーンに厳選してお届けいたします。それでは、早速ポイントを確認していきましょう。
上司に対してよく使う敬語・言葉遣い15選
ここでは様々なシーンを取り上げ、それぞれに相応しい言葉遣いをご紹介していきます。
1. 上司から呼ばれた時など返事をする時
✖️「何でしょうか」→⭕️「お呼びでしょうか?」「何かご用でしょうか」
「何でしょうか?」ビジネスシーンではラフすぎる返事の仕方で、失礼に聞こえてしまいます。
2. 「わかりました」と言いたい時
✖️「了解しました」→⭕️「承知しました」「かしこまりました」
「了解しました」は業務の場でよく使われる言葉ですが、同等の人や目下に使って使う言葉です。よって、目上の人やお客様に対して使うのは相応しい言葉ではありません。
3. 謝る時
️✖️「ごめんなさい」「すみません」→⭕️「申し訳ございません」
「ごめんなさい」は敬語表現ではなく、丁寧なニュアンスはあるものの、親しい仲や気心の知れた人に対してのみ使う謝罪の言葉です。また「すみません」も謝罪の言葉としては軽い印象を与え、くだけた言い方のためビジネスでは適しません。
社内で目上の人に対して、「ごめんなさい」を使う新入社員を大変多く見ます。またサービスの場でお客様に対して使っているお店なども多く見ますが、「ごめんなさい」と言っているのを聞くと残念な接客レベルだと思ってしまいます。
4. 労いの言葉
✖️「ご苦労様です」→⭕️「お疲れ様です」
「ご苦労様」は目上の人が目下の人をねぎらう言葉ですので、「お疲れ様」と言い換えましょう。
5. 上司や先輩から何かを教わりたい時
✖️「〜について教えてください」
→⭕️ 「〜についてご指導(ご教示)いただけませんでしょうか?」
「ご指導」はある目的や方向に向かって教え導くこと、「ご教示」は知識や方法を教え示すという意味です。
「教えてください」は間違いではありませんが、幼稚な印象も与えることがあります。「ご」を付けた丁寧語を使い、敬意を示しましょう。
6. 上司に何か伺う時など、時間をもらいたい時
✖️「今、ひまですか?」
→⭕️「少しお時間よろしいでしょうか?」「お時間構いませんか?」「〜の件で(○分ほど)お時間いただきたいのですが、今お手隙ですか?」
この場合、すぐに時間を頂けるとは限らないので、「ご都合がよろしい時にお時間を頂けませんか?」とタイミングを上司に委ねると更に良いでしょう。
7. 上司にもう一度聞き直したい時
✖️「もう一度おっしゃっていただけないでしょうか?」
→⭕️「もう一度ご教示いただいてもよろしいでしょうか?」「もう一度お聞かせいただけますでしょうか?」「もう一度お伺いできますでしょうか?」
「おっしゃっていただけない」は一見正しいように思えますが、「おっしゃる」は「言う」の尊敬語、「いただく」は「もらう」の謙譲語であり、尊敬語と謙譲語を併用した二重敬語。言い換えのみでなく、正しく敬語を使う必要があります。
8. 上司から知らないことを尋ねられた時
✖️「知りません」→ ⭕️「申し訳ございませんが、存じません」
前に「申し訳ございませんが」などのクッション言葉をつけると柔らかい表現になります。
9. ミスをしてしまい、謝罪する時
✖️「私のミスです」→⭕️「私の不手際です」「私の認識不足です」
「ミス」を「不手際」「認識不足」という表現に変えることで文章がしまって見えます。
✖️「反省しています」→⭕️「二度とこのようなことがないよう肝に銘じます」
後者の方が重みが感じられます。
10. 忘れてしまったことを謝罪する時
✖️「忘れておりました」→⭕️「失念しておりました」
目上の人に対して使う謙譲語で、やるべきことや考えなどを「それまで覚えていたが、忘れてしまった」という意味を表します。
「うっかり忘れてしまった」場合の言い換えですが、人の「行動」に対して使う言葉であり、「物」には使いません。その「行動」も「自分の行動」に対して使い、「他人や相手の行動」に対しては使わないことを覚えておきましょう。
11. 言われたことに承諾する時
✖️「大丈夫です」→⭕️「問題ございません」
「大丈夫です」は敬語ではなく日常表現です。そのため、つい発してしまいがちなので気をつけたいものです。
12. 上司や同僚がまだ仕事をしているなかで退勤する時
✖️「お疲れ様でした」→⭕️「お先に失礼します」
「お疲れ様でした」は自分から退勤する時、上司に対して使うのは間違いなので、注意が必要です。相手が誰でも「お先に失礼します」を使いましょう。ただし、社内の通例や雰囲気によっては容認されている会社もあるようなので、様子をよく見て場に応じて使いましょう。
その場合も「お疲れ様でした」のみでなく、「お先に失礼します。お疲れ様でした」と両方を使う方が無難です。
13. 手伝ってほしい時
✖️「手伝ってください」→⭕️「お力をお貸しください」「お力添えください」
「〜していただけませんか?」とすることで、よりお願いしたい気持ちを強めることもできます。
14. 再び話しかけたり、謝る時
✖️「何度もすみません」→⭕️「度々申し訳ありません」「度々恐れ入ります」
「何度」を「度々」に言い換えることで、一般的な言い方がビジネスに相応しい表現に変わります。
15. 要望に応えられない時
✖️「ご要望にお応えすることはできません」
→⭕️「ご要望にお応えすることはいたしかねます」
上司には言いにくい表現ですが、取引先やお客様にお断りする際に使う基本的な言い換えの表現です。
信頼を得て、自信に繋げる
いかがでしたでしょうか?今回はよく使われるシーンの表現を挙げてみましたが、第一声に使われる表現も多く、これらをマスターすることで相手からの好評価や「きちんと仕事ができる人・丁寧な人」といった好印象につながります。
正しい敬語を使いこなして上司からの信頼を得らえたら、スムーズな仕事に繋がり、自信もつくのではないでしょうか?
新入社員以外にも、就職活動や転職活動の方なども面接で見られている部分と言えるでしょう。基本的な表現の事例として早めに身につけたいものです。
間違えやすい敬語表現については、別のコラムでも紹介しています。ぜひご覧ください。