ご葬儀の場で困らない!ご遺族に寄り添う接客マナーの基本3項目とは?

最近、テレビでは小規模や家族・親族だけの形態のご葬儀のCMが多く目につくようになりました。

コロナ禍で最近のご葬儀の形態も「火葬だけを行う葬儀」「一日で葬儀・告別式を行う一日葬」などが急増しており、ある葬儀会社の方によると、離れた地域からご葬儀に参列することが難しい状況や密を避ける必要性などが背景にあるとのことです。

今は多くの方と見送りすることが難しく、家族で最期のひと時をゆっくり過ごしてあたたかく見送ってあげたいというニーズが高くなっているのではないでしょうか?

そこで、人生最期の大切な式を任せられると思って頂ける「葬」の場に相応しい接客マナーの基本を考えてみました。

大切なのは「第一印象で信頼を得ること」

突然必要となるご葬儀では、ご遺族は意気消沈し、疲労困憊の状態で葬儀社選びから様々なことまで急遽判断しなければならないケースも多いことでしょう。

葬儀費用や受付での御香典を預かる役割など、お金の面でも「信頼される」ことが重要です。

ご遺族から見て「信頼できて任せられる」ということは、故人とのお別れに安心して集中できることに繋がると言えます。

そのために必要なのが「第一印象の良さ」です。

 「メラビアンの法則」によると、第一印象を決定付ける情報は視覚が55%、聴覚38%、話の内容は7%と言われています。

接客マナーの基本は共通する部分も多いですが、一般的な接客の場面と葬儀との違いをこの視覚・聴覚・話の内容をあてはめて、具体的に見ていきましょう。

①視覚→身だしなみのポイントは「清潔感」「控えめ」

第一印象に最も関わる視覚として「身だしなみ」が大きい要素ですが、

ご葬儀の場では「控えめ」で「清潔感」があることが重要です。

  • 派手な服装は避ける。スタッフの制服の場合はオーバーサイズにならないようにしパンツスタイル、ヒールが低いものなど動きやすい服装も適する。
  • 時計は高価なものは避け、その他のアクセサリー類は結婚指輪を含めて外しておく。
  • 明るすぎるカラーリング・ヘアスタイルはNG。ロングヘアの場合は結ぶかシニヨンにし、耳が見えるようにすっきりまとめる。ショートヘアの場合は、顔に髪の毛ができるだけかからないようにヘアピンでとめる。
  • 派手な色や光沢のあるメイク(ラメ・グロス・パール)はNG。ファンデーションはマット、アイブロウは自然な眉に形を整え、アイメイクやチークは基本つけない。

②聴覚→声の調子は基本的に「落ち着いた調子」で

声の調子をTPOに応じて使うことで印象は大きく変わるため、私達CAもお客様や場面に応じて声色を使い分けています。

例えば、早朝便のお出迎えの際には声のトーンを上げて爽やかさを意識したり、お子様には高めの声でゆっくり・優しく、ビジネスマンのお客様には低い声で少し早めに話します。

ご葬儀の場では、基本的に「落ち着いた声の調子」が適しています。

ご高齢の参列者も必然的に多くなりますが、以下のような調子を心掛けるとよいでしょう。

  • 低めの声のトーン
  • 少し大きめの声のボリュームでゆっくりめ・はっきり
  • 特に聞き取りにくいカ・サ・タ・パ行は単語の最初の発音、子音をはっきり発音する

③言葉遣い→お悔やみの言葉は「短く簡潔に」

ご遺族への言葉遣いは、心情を考えると戸惑ってしまいがちですが、対応に忙しいご遺族を疲れさせてしまわないように「短く簡潔に」伝える気遣いが大切です。

ご葬儀にいらっしゃるご遺族と葬儀社間での挨拶も、通常の接客とは異なり、「お待ちしておりました」や「いらっしゃいませ」を使わないのも特徴です。「お疲れ様でございます」とご挨拶します。

一般的に使われるのは、以下のようなものがあります。

「この度はご愁傷様です」
「この度はお悔やみ申し上げます」
「哀悼の意を表します」
「この度は大変なことで」

ご愁傷様(ごしゅうしょうさま)…強い悲しみを気の毒に思うこと

哀悼の意(あいとうのい)…人の死に際して、嘆き悲しむ心持ち

「ご冥福をお祈りします」

という言葉は注意が必要です。

「ご冥福」には「死後の幸福をお祈りすること」を意味します。

キリスト教・神道・浄土真宗のご葬儀では宗派の教義にそぐわないため、他の言い回しを使うようにしましょう。

①キリスト教の場合

葬儀ではお悔やみの言葉をつかいません。

キリスト教における死とは、地上での罪を許され、天に召されることをいいます。祝福されるべきものと考えられていることから、キリスト教のご葬儀では故人の死を悲しむお悔やみの言葉は使いません。

「安らかな眠りにつかれますよう、お祈りいたします」といった言葉がふさわしいでしょう。

②神道の場合

神道では故人は家の守り神になると考えられていることから、死後の世界である冥土という思想はふさわしくないとされています。

神道の場合には「御安霊の安らかならんことをお祈りします」「御霊のご平安をお祈りします」という言葉を使いましょう。

③浄土真宗の場合

「ご冥福をお祈りします」という言葉の使用はおすすめできません。

浄土真宗では、亡くなった後はすぐに仏様になる「臨終即往生」という考え方があるため、「死後の世界である冥土に迷い込んでしまう」と捉えられてしまいます。

浄土真宗の方の通夜やご葬儀の際は、「お悔やみ申し上げます」という言い回しを使うとよいでしょう。

「心より」を添えると、深い悲しみを、「謹んで」を添えると敬意を表すことができるため、目上の方に失礼になりません。

また「忌み言葉を避ける」ことも基本と言えます。

例えば、不幸が続くことを連想させる言葉(「重なる」「続く」「再び」など)や音を繰り返す「重ね言葉」(「たびたび」「またまた」など)があります。

ご遺族に寄り添う接遇とは

そして最も重要なのは「ご遺族の心に寄り添う」ことではないでしょうか?

言葉もあまり気にしすぎると、ありきたりなことしか使えず、表面的に聞こえてしまうかもしれません。その時々で相手も状況もよって違います。相手の気持ちになって、自分の言葉で伝えることも寄り添うことに繋がると思います。

例えば家族葬であっても、賑やかで比較的ご葬儀に慣れているご家族なのか、とても動揺されていて、まずは落ち着かせて差し上げる必要のあるご家族なのかなど、どのようなご遺族なのかによっても言葉の掛け方を使い分けると、さらに心に寄り添った「接遇」となります。

葬儀という普段とは違う場だけに接客マナーも戸惑ってしまうことも多いですが、基本のマナーをおさえつつ、ご遺族に寄り添う気持ちを伝えたいものです。

接客にとどまらない「接遇」については、おもてなしパートナーズの講座にてたくさんご紹介しています。

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この記事を書いた人

おもてなしパートナーズ