元フジテレビのアナウンサーで、現在はアスリート・マーケティング株式会社 の役員やジャーナリスト、スポーツアンカー、講師、ライター、会社経営などで活躍されている田中大貴様のインタビュー、中編です。
(※インタビューは2020年12月末に行ったものです。)
答えは相手にある
−アナウンサーやインタビューの仕事で難しい事はありますか?
田中:できるだけ見ている人たちの感情に寄り添うのがデレビなので、多い方を取っていくのがアナウンサーの仕事です。大きな共通点、ボリュームゾーンを探していくっていう作業です。答えは自分たちには無くて、答えは相手(視聴者)にあります。自分が完璧だと思っても視聴率が悪いこともありますから。僕らには答えが無いので、答えを探す作業は難しいといえば難しいですが、面白いですね。
真似する事が上達のコツ!
−田中様は、アナウンサーになってから今まで、どのようにスキルアップされ
てきましたか?
田中:とにかく人に会う、人と会話するといった場数を踏むこと事が近道だと思います。
研修で講師をする時によく言うのは、まずは基礎を身につけて、その後は真似をしてくださいという事です。真似る事は自分のものにカスタマイズするための過程なので、真似ることを恥ずかしがらないことが大事ですね。いいものを持っている人から吸収することは間違いなく必要なことです。
スポーツの世界でもトップ選手は真似ているし、聞きだしています。それを続けて取捨選択していくことも大事です。自分の中に眠っている可能性を人に会うことによって広げられます。人に手伝ってもらうと夢や目標が実現しやすくなります。必要としている事を口に出すと、助けてあげようと思ってくれる人がいるし、理想の自分に近づきやすくなると思います。
-田中様のその精神のおかげで、今回のインタビューも実現しました!とてもありがたいです。
大事にしているのは「どんな時も変わらない」事
−田中様がコミュニケーションを取るときに気をつけている事というようなポイントはございますか?
田中:そうですね…メディアに出ていても、メディアに出ていない時も、誰に対しても変わらない事が大事かなと思います。印象が違うな思われることは、僕にとってはマイナスだと思っているので、どんな時も変わらない事が良好なコミュニケーション空間を作ることを大事だと思います。
-なるほど。フラットな状態を保つ、ということでしょうか。
人を褒める時に形容詞を使わない
田中:相手との距離感も大事にしています。表現方法はたくさんあると思いますが、仰々しく、嫌らしくなることは避けています。例えば、相手のジャケットを褒めたい時、「素敵ですね!これ高いですよね!」と褒めるよりも、「ちょうど僕も買おうと思って、昨日お店に見に行ってたんです!」と言った方が褒められていると感じますよね。形容詞の連続は不快感を与えるリスクがあります。形容詞を使わず、自分の生活の中の一部として表現をしていく事を大事にしています。表現方法によって見え方が変わるので、表現の仕方には気をつけています。
−とても勉強になります!そのような相手との距離感の取り方はどのように身につけられたのですか?
田中:プロ野球選手を目指して野球をやってきて、沢山の部員がいる中でどうしたら先輩に怒られないか、自分はどういうスタンスでいればレギュラーになれるか、生き方を勉強してきました。それは今に繋がっている部分もあると思います。野球が上手くなる事に越たことはありませんが、それに加えて、監督や首脳陣に人間として気に入ってもらえないと起用してもらえないので、(気に入ってもらえるようにという事を)僕だけじゃなく部員全員考えていたと思います。何千人の部員を抱えてきた監督には、嘘は見透かされるので嘘はつかないで生きてきました。
−その経験は、現在田中様が大事にしている「どんな時も変わらない」事に通じていますね。
田中:そうですね。でも、どうしても変えたくなってしまいますよね。この考えが正しいのかなと思ったりもしますが、そんな時は大学の先輩である高橋由伸先輩の考えを聞いたり、インタビューする中で松井秀喜選手が「どん
な時も変わらない、不動心だ。」と語っていたのを聞いて、自分の考え方と擦り合わせて答え合わせはしてきました。ダウンタウンの松本人志さんも番組の打ち合わせで、小さい時にクラスで隣の席の子の事が好きで、その子を毎日笑わせたいと思っていた時の感情を今も変わらず持っているという話をしていました。舞台が大きくなっても、生放送や特番になっても、感情や考え方は当時の気持ちと変わらないそうです。スポーツ界に限らず芸能界も、どんな時も変わらない人が活躍している人が多いと思うので、間違いではないなと思っています。
Next▶▶▶次は、田中様の考える「最高のおもてなし」についてお伺いします。(後編へつづく)