【一風堂】の力の源ホールディングス 取締役・山根 智之さんが語るおもてなしとは「お客様が幸せになっている瞬間を創りたい」

皆さま、こんにちは。サービス業に携わる方や経営者の方に、ポリシーや哲学などを伺う、「おもてなしの哲学」インタビューシリーズ、第10弾。

今回は、機内食のラーメンでもおなじみ、「一風堂」。その運営の母体となっている「力の源(もと)ホールディングス(以下、力の源HD)」の取締役の山根 智之さんにお話を伺いました。

↑ロンドン1号店開店時のお写真

一風堂といえば、国内125店舗、海外は14カ国に展開、全世界で合計280店舗以上(2020年12月末現在)の店舗を構え、グローバルに躍進を続ける会社です。そんな「一風堂」の経営戦略を担当する山根さんは、どのような「おもてなし」を大切にされているのでしょうか?

早速ご紹介いたします。

一風堂は「変わらないために変わり続ける」

ファウンダー(創業者)の河原成美氏と山根氏

ー山根さんが入社を決めた2010年当時、一風堂の海外事業は、まだNYに1店舗しかありませんでした。山根さんは日本の高校を卒業後、アメリカとヨーロッパで大学・大学院を卒業し、ヨーロッパで仕事をされていました。他にも沢山お仕事のオファーがあったと思うのですが、なぜ力の源HDに入社を決められたのでしょうか?

山根 智之さん(以下、山根氏):一風堂の「可能性」に惹かれました。入社前にファウンダー(創業者)の河原と話したとき、「5年後の2015年には10カ国、50店舗を目標にしよう!」と言っていたんです。

 「出来ると思ってやる」これが、基本ですね。実際、5年後にはアメリカやシンガポール、ヨーロッパなど58店舗にまで増えました。

ー目標以上を達成なさって、本当にすごい!さすがです!!

山根氏:一風堂では、「変わらないために変わり続ける」ことを大切にしています。来てくださるお客様に、日々喜んだり驚いたりしていただきたいので、味もサービスもイメージも変える時はガラッと変えます。
ですが、笑顔と共に「ありがとう」の思いを一杯のラーメンに込めて提供する姿勢は、守り続けます。外食の楽しさやワクワク感を世界のどこの場でも提供したい、と思っています。

一風堂が海外事業の中で気をつけていることとは?

↑一風堂 パリ店にて

ーそこまで様々な地域に事業を広げられていると、全く違う食文化だと思うのですが、一番気をつけられているのは、どのようなことでしょうか?

山根氏:食文化が違うだけではなく、外食をする人の層も異なってきます。

アメリカやヨーロッパでは外食をするというのは、一緒に食事をする「時間」を楽しむためのもの。ですので、ダイニング形式で、食事の最後にラーメンが出てくるようになっています。日本の一風堂の店舗のように、「滞在時間が短く、食べたら店を出る」訳ではないので。

また、インドネシア、ミャンマーですと、それぞれのお客様のバックグラウンドに合わせることを心がけています。例えば、大富豪が食べに来たり、外食をするために貯金してから来る人も多いです。

ーなるほど。そこまで異なる国で新規事業をどんどんと立ち上げるというのは難しそうですが。

山根氏:事前調査や、外資が入る際の規制はあるかなど、事前に調べないといけないことは沢山あります。最近は、パートナーを見つけて共同事業にすることもあります。2014年は、2ヶ月で4カ国に新規店をオープンし、海外の移動だけでもとてもハードでした。現地で採用した、店舗営業ができる人と仕事をしたりしていますが、一番苦労するのは、人と人とのコミュニケーションです。

 僕が「ボスだから」では通用しないんです。

 それぞれの場所で、一番意識しているのは「『特別な場所』を創り出せているか?」ということです。「一風堂がこの土地で大切にしたいことは?」と「それがお客様に対して表現できているか?」を、常に考えています。

ー「『特別な場所』を創り出せているか」ということですが、そちらを考えた時に、心に残るエピソードなどはございますか?

山根氏:ロンドンに初めて出店した際に、男の子が「初めての外食だから」と、おめかしして来てくれた事です。11歳くらいの子だったかなぁ?その時に、「現地の方の食習慣に入り込めた!」と思いました。また、お客様の初めての瞬間に立ち会えたことが、本当に嬉しかったです。

ーそれは…想像するだけで、とても可愛いですね❣️微笑ましいです✨『初めての外食』に選んで頂けるなんて、とても嬉しい事ですね☺️✨

お客様のお叱りと、お褒めの声には、絶対に理由がある!

山根氏:一風堂では、コロナ禍以前は1日に約8万食の食事を提供していましたが、大切なのは数ではなく、1日1日のシーンの中で「わざわざ」選んで来ていただいているということ。1杯のラーメンだとしても、その日その人でストーリーは違いますよね。「食は幸せを作る」と思っているので、一風堂としては、これからも「笑顔とありがとうを作る」ことを大切にしていきたいです。そのためには、まず自分が(笑顔とありがとうを)持っていること。そこが重要だと思っています。

ー一風堂として、「笑顔とありがとう」を作り続けるために大切にされていることは何ですか?

山根氏:やはり、現場を大切にすることです。その為に現場によく足を運び、1日に6〜7店舗回ったりしています。それと、お客様からあがるお叱りとお褒めの声にはとても注目しています。お客様の声には絶対に理由があり、1つのお声の裏には数百の同じ事例がある。

 また、ラーメン店は「女性一人では入りにくい」というイメージを覆せるよう、常に綺麗な状態にしておくというのも気をつけているポイントです。

ーそれは業界を跨いでも同じですね!!!私たちも一人一人が、同じような体験をしているのではないかと思っています。

山根氏:僕は「おもてなし」は、人生経験があってなんぼだと思っています。(一風堂には)私たちがチェックしている項目などもありますが、チェックリストもいいけど、裏にある想いや歴史などをしっかり伝えて欲しい。それがあってこその「おもてなし」なのではないでしょうか。

山根さんが今、目指されていることは何ですか?

↑一風堂 浅草橋本店にて

山根氏:今はコロナ禍ですが、コロナウィルスが落ち着いたら、さらに海外に店舗を増やしたいと思っています。また、出店する国も増やしたい。僕にとって店舗が一つ増えるというのは、子供がいっぱいできるようなもので、それぞれに対して愛情があります。

また、一風堂で働く中で、人生経験を積んでもらえたらいいなと思っています。人なので、得手、不得手はあって当然です。ですが、例えば厨房からフロアへ配置転換をしたら見える幅が広がり、動きが良くなったりすることもあります。人生経験を積んでもらえたら嬉しいですね。

また、営利と非営利のバランスもありますが、キッチンカーで学校に行ってラーメンを振る舞うなどの力の源の食育活動であるチャイルドキッチンも、海外でもっとやっていきたいと思っています。

ー素晴らしいです!!小さなお子様にも、きっと「あの時のラーメン屋さん」という印象がすごく残りますよね✨

まとめ

今回は、「一風堂」の力の源HDの取締役、山根 智之さんにお話を伺いました。

山根さんは一風堂のグローバリゼーションの立役者でもあります。

一風堂が大切にしている「変わらないために変わり続ける」姿勢と、「笑顔とありがとう」を提供すること。国内でも、海外でも変わらないその姿勢は、私たちも大変共感いたしました。

今後、更に力を増した力の源HDの活躍をとても楽しみにしております✨

力の源ホールディングス

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次は、名だたるVIPにおもてなしを提供されてきた、元IACEトラベルの水越丈晴さんにお話を伺います

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