皆さま、こんにちは。
サービス業に携わる方や経営者の方に、サービスやおもてなしのポリシーを伺う、「おもてなしの哲学」インタビューシリーズ、第16弾。
今回は、セレクトショップとして名が高いBEAMS(ビームス)で活躍なさる土井地 博(どいじ・ひろし)さんにお話を伺いました。
(*このインタビューは緊急事態宣言前に行いました。)
土井地様は執行役員、経営企画室、グローバルアライアンス部の担当役員だけでなく、コミュニケーションディレクターとして、質の良い人間関係の作り方を伝えられています。
それでは、土井地さんの大切にされているコミュニケーションとは?
早速ご紹介してまいります。
昔からの「人たらし」だった
ー土井地さん、改めて、今回はよろしくお願いいたします。
(改めて名刺を拝見して)「コミュニケーションディレクター」という肩書きを初めて聞きました!どのようなことをされるのですか?
土井地さん:なかなか聞き慣れない肩書きかもしれませんね。代表から「人や企業、コンテンツなどを繋ぐことが得意なのでこの肩書きを。」と。
たしかに自分でも、「人たらし」なことは自負していますが(笑)
アパレル業界の肩書きというと、バイヤーやショップスタッフなどが思い浮かぶかと思います。
この「コミュニケーションディレクター」というのは、具体的にどんなことをするかというと、企画、営業、プロモーション、ディレクションなど様々な角度で仕事をしています。
人間関係のコーディネートも大切な1つだと思っていて、日頃のからラジオのナビゲーターや、講演や大学での講師などでも活かしています。
ー土井地さんのお人柄がより輝く、素敵な響きです。いつ頃からコミュニケーションが得意だと気づかれたのですか?
もともと小さい頃から会話のキャッチボールが好きだったんですよ。
ー小さい頃からとは驚きです!周りの方の影響でしょうか?
祖母の影響が大きくあったかと思います。しつけが厳しくて、「人に挨拶をする、お礼をすることは基本だよ。」と育てられました。
出身が田舎で、特に人との距離が近かったこともあり、誰とでもすぐ仲良くなっていたなと思います。
ーまさに英才教育です!挨拶をすることで、人との距離がグッと縮まりますよね。コミュニケーションのポイントはありますか?
英才教育だなんてありがとうございます。
例えばですけど、人に誰かを紹介するときは、会社名ではなく、名前から紹介していますね。
それは、肩書きではなく、その人自身に興味を持ってほしいからなんです。
その後、相手が興味を持ってくれていると分かってから、役職や仕事をお伝えしています。
この方が、その方の魅力が相手に伝わると思っています。役職からではなく、その人を知ってほしい。
その会社が傾いたからといって、その人の価値はなくならないですよね。
大切なことはその人自身です。マネジメント層として、このことはチームメンバーに伝えています。
ー心に響きます!沢山の方とお会いする土井地さんですが初対面で意識していることはありますか?
私が土井地さんの立場ですと、沢山の方に会いすぎて、不意に再会した時にどんな方か忘れていそうです。
名刺管理アプリは必ず使いますよ。もう僕もいい歳ですからね!忘れないようにしています(笑)
せっかくの一期一会、繋がりを大切にしたいんです。今はSNSも身近なのでInstagram、Facebookでも活用しています。オンラインでのコミュニケーションは気軽かつタイムリーですし、1日で5回会ったような気がするんです。
良好な人間関係作りで大切なことは「話し上手で聴き上手」であること、そして「インプットとアウトプット」
ー人間関係を大切にしている土井地さんが、特に意識していることはありますか?
土井地さん:僕は、人間関係作りや会話がうまい人は「話し上手で聴き上手の人」だと思っています。
話ばかりしている人って、印象や心象に残りづらいと思いませんか?
なので公演のお仕事や大学で講義をする時は、7、8割話して、残りの時間を質疑応答にしています。
今は多様性やシェアリングの時代である以上、相手の気持ちを知ることやシェアすることが重要だと思っています。
ー2021年は風の時代とも言いますしその通りですね。私たちも傾聴力を大切にしていて、7:3(聴く:話す)を意識しています。
あと僕が大切にしていることは「インプットとアウトプット」です。
会話の中で面白いことがあったら、自分なりに噛み砕いて理解して、他の方に伝えます。
学ぶことが好きな人はたくさんいらっしゃると思いますが、自分なりの意見や解釈を加え、相手に分かりやすく伝えられるようになってこそ、初めて自分のものになると思っています。
インプットとアウトプット、そのどちらもしていることが大切ですね。
ー土井地さんのお話を伺うと、まさしく人間関係やコミュニケーションの達人だと感じます!
百戦錬磨の土井地さんですが、失敗談などあるのでしょうか?
沢山ありますよ!ありすぎて何を話せばいいか…。
それこそTV、雑誌、ラジオなどメディアに出始めた頃は「見たよ!」と声をかけてくれる人が多くなり、少し自意識過剰になることもあったかと思います。
ですがその後、どうしても越えられない壁が出てきたりして。それで「今ここで満足していたらダメだ。」と気づいたんです。
それから、失敗しそうな自分が見えた時はしっかり立ち止まって「気をつけよう」と言い聞かせています。
あとは英語ですね。もっと語学を勉強しておけばよかったと思います。
日常会話はできても、相手との深い話や心の内にグッと入り込む程のレベルには届いていなくて。
心の距離を縮めるポイントを逃しているのかな、と思うと悔しいです。
「先読みの行動」が最高のおもてなし
ー常に謙虚な気持ちをお持ちな土井地さんが、今までで一番心に残った「おもてなし」とは何でしょうか?
土井地さん:沢山あってどれにしようか迷いますね。せっかくなのでエアラインのお話をさせてください。
ー話題も合わせていただけるところに、土井地さんの心配りを感じます。ご配慮いただけてありがたいですが、良いエピソードはありましたでしょうか?
僕は、気配りだけにとどまらず、先読み能力のある人がおもてなしのプロだと思っています。
数年前のことですが、パリでの仕事を終えて空港に向かっていた時に少しトラブルがあって、チェックイン時間がギリギリになりそうだったため、利用する予定だったエアラインの空港に連絡したんです。
結果チェックインは間に合ったのですが、予想通りギリギリなので搭乗ゲートまで猛ダッシュでした。
「予約した座席は飛行機の後方だったな。」と、ふと搭乗券を見ると、搭乗ドアに一番近い席に変わっていたんです!
この時に気づいたんですよ。「他の旅客の目が、僕に向かないよう配慮してくれたんだ。」と。
僕はその時、プロジェクトに関わる方達と一緒のフライトだったため、配慮いただけたことがとてもありがたかったです。
ーまさしく先読みの行動ですね!
流石だなと感動しました。僕も良いおもてなしできるよう考えたりしますが、「相手にどのようなおもてなしができるか」を考えることが楽しかったり嬉しかったりします。
この「相手にどんな風に喜んでもらえるか」をワクワクしながら考えられるところに、サービス業の醍醐味があるような気がします。
ー確かに、相手のために何ができるかを考えている時は楽しいですし、実際に喜んで頂けると更に幸せを感じます。私たちも、CS五原則やマナーの五原則の中に、どれだけ思いやりやおもてなしを加えるかが重要だと考えます。
そうなんですよ。「おもてなし」って奥が深いです。
そういう意味では、今はネットワークが主流になりつつありますよね。
ただ、どれだけテクノロジーが発達して99%相手の心に近づいたとしても最後の1%は埋まらないと思っています。
その1%は、直接会った時の一言だったり、直筆のお手紙だったり…。
要するに相手のため丁寧に時間をかけること、これに勝るものはないと思います。
ーその通りですね!私たちも、土井地さんがおっしゃる「おもてなし」を実践していきたいです。
これから実現したいことは「更なる自己成長」と「10肢の1つに選ばれるBEAMS」
ー最後に、土井地さんがこれから実現したことはありますか?
土井地さん:人生100年ですからね。長い人生の旅、見たことない景色をさらに見たいですね。
こんな時期なので行動の制限があり生きづらいですが、だからこその学びや気づきも沢山あります。
過去と今をしっかり見つめながら、したことのない経験を増やして更なる成長につなげたいです。
例えばですが考え方として「10肢の1つになろう」と考えています。それは、お客様の行動の全てをBEAMSの製品で…ということではなく、お客様が何かをしようと思った時に、「お客様の選択肢の1つになろう」という意味です。
世の中素晴らしい物がたくさんあふれています。さらに今の時代はみんな編集者ですからね。
全身BEAMSでなくても、どこか1アイテム取り入れてもらえれば十分なのではという考えです。
ー自身だけでなく、常に周りの方に心を向ける素晴らしい土井地さん、まさに愛される人たらしです!
これからも成長し続ける土井地さん、ますますのご活躍を期待しています。
土井地さんのSNSやHPのご紹介
土井地さんのInstagramはこちら。
土井地さんがCEOを務める株式会社ビーアットのHPはこちら。
土井地さん率いる事業実現オンラインサロン「社外取締役」HPはこちら。