【京都・金網つじ】コンセプトは「多様性」京都に育まれた 金網 辻徹さまがお客様と関わる中で大切にしている精神とは

皆さま、こんにちは♡

サービス業に携わる方や経営者の方に、サービスやおもてなしのポリシーを伺う、「おもてなしの哲学」インタビューシリーズ、第14弾。

今回は京都・高台寺にある金網つじの辻徹さまにお話を伺いました。

こちらが、金網つじの商品です!

↑銀をベースに真鍮と銅で装飾されたバングル(出典:公式HP
↑G20大阪サミットでファーストレディ・ファーストジェントルマンへの手土産となった新しい茶漉し(出典:公式HP

バングルから、2019年のG20でファーストレディ・ファーストジェントルマンへの手土産として渡された新しい茶漉しまで、そのラインナップは本当にさまざま。

「手で作っていること」に徹底してこだわっている金網つじ。

そんな金網つじの辻徹さまは、どのようなこだわりを持ってお仕事をされているのでしょうか?

その魅力を早速ご紹介してまいります♡

生活の中の「脇役の品格」使ってもらってこそ価値がある。絶対に変えられないのは「手で作っていること」

-早速ですが、辻様が一番こだわりを持っていることはどのようなことなのでしょうか?

辻様:ぼくが大切にしているのは、「脇役の品格」です。それは、生活の中に取り入れられる品であること。「作品」ではなく、商品として皆に使って欲しい。お店に来て、(金網つじの)商品を好きだと言ってくれる人に、真剣に向き合いたい。

-なるほど。家の中に飾っておくようなものではなく、実際に生活の一部として使ってもらえるもの、ということでしょうか?

 その通りです。工芸というと、上級者が使うものという位置付けですが、使ってもらえないと意味がない。例えば、ペットボトルと急須の間を繋ぐこの茶漉しは、2019年のG20サミットでも贈答品として大変好評を博しました。朝日焼さんのカップにピッタリとフィットした形。そしてふんわりと茶葉が開く高さや空間があるでしょう。

-洗うことができるトースト用の焼き網は、セラミックから出る遠赤外線でとても美味しく焼けるととても人気ですものね!

出典:ケノコト

 うちで変えたくないと思っているのは、「手で作っていること」です。逆に、それ以外は何を作っても良いと思っています。実際、ランプシェードや椅子なども作っています。生活が厳しくとも、両親が守ってきた「手しごと」。高い技術を残してくれたからこそ、今のお店があると感じていて。「作られたものを仕入れたら、(技術力が落ちるから)終わるぞ」と皆に言っています。自分が作ったものを欲しいと思って、お店に来てくださる方がそれを買って喜んでくれるという、とっても「ピュアな仕事」なんですよね。

お店のものが欲しいと思ってくださる方に「真剣に向き合う」とは?

-自分が作ったものを買いに来てくださった方が喜んでくださる。目の前で、喜んでくれる方がいるというのはとてもモチベーションになると思います。辻様が、経営で気をつけていらっしゃることはございますか?

辻様:ぼくが若い頃に洋服店をやっていた時も言っていたことが、「戦わない経営」です。

そのためにも「買いにきてくれる方と真剣に向き合う」ことが大切ですね。

-「真剣に向き合う」とはどんなことなのでしょうか。具体的に、お店の中で工夫されていることはどんなことですか?

 そうですね、インターネットでの販売が多いのですが、買ってくださった方に手紙を書こう思っていました。その際、10年以上うちで働いてくれている石井さんが、「絶対に手書きが良い」と言ってくれて、便箋に手紙を書いたものを入れてお送りしました。それがとても反響が良く、更に注文数が多くなった今でも、石井さんの気持ちを継いで、2名のスタッフが手書きで手紙を書いてくれています。

やっぱり、手書きだと人って読むんですよね。

🌸手書きのお手紙の写真など、ございますか?

-なるほど。手仕事で、一人一人のお客様と真剣に向き合う。そんな姿勢がとても魅力的です

 それだけではなく、うちでは働いている方の「多様性」も大切だなと感じています会社が強くなっていくために重要なものだな、と。例えば、梱包をする際の段ボールに入れる緩衝材を切る仕事を、障がいのある方にしてもらったりしています。うちでは、色々な人に働いてもらいたい。それ以外の物事に対してもなのですが、「この人に何かあるかも?」と、個性を面白いと感じられるような人生の方が楽しいじゃないですか。

-すごい✨とても素敵です!個性を伸ばしていくことで、成長していくことができる。守りに入らず、攻めの姿勢でいるためには、とても重要な事かと思います!

ものづくりで「世界を変えたい」と思っているメンバーと出会えた

-前回、開化堂の八木様にもお伺いしたのですが、世界に幅を広げた活動をされていらっしゃいますよね!

辻様:冒頭でもお話しした通り、実際に使って、手にとって欲しいという思いがあって。海外では、「Made In Japan」を表に出さないようにしています。

出典:Fashion Headline

父の世代では、15〜16年前に、「そうだ!京都へ行こう!」という企画での依頼があった際に京都で真っ先に「手作りの豆腐すくいを作る体験」を行いました。

ぼくにとってのターニングポイントは、母が亡くなった時かもしれません。「あの時やっておけばよかった」と思ってはダメなんだなと思いました。

 元々、固定概念とか、一般の社会でダメと言われていることにはあまり意味がないと思っていて、「多様性」が重要だと思っています。

 GO ONメンバーのような、「もの作りで世界を変えたい」というメンバーと知り合えたことはとてもラッキーだと思っています。

 世界でいろんな人と会っていて思うことが、「偉い人ほど自分が一番小さくなる」というか。謙遜が重要だなと思います。あと、心に響いたのは「大人になっても子供の心のまま生きろ」という言葉ですね。

-様々なことにチャレンジができ、世界の色々なところに行ったり、皆で意見を出しあえる。そんなエッジの効いたメンバーが揃っていることは、本当に「GO ON」の皆様の強みですね!今後、挑戦していきたいことなどはございますか?

これから挑戦したいこと…美味しいもの食べて、できる限り笑って、みんなでいいなと感じたものを作っていく。これですかね?

-意外とシンプルで驚きました!たくさんあれもやりたい、これもやりたい!とおっしゃるかと思っていて…

 そうですか?今も既に、ランプシェード・椅子などを作っていますが、うちの商品が欲しいと思ってくれる人の意見を聞いて、固定概念を持たずに、皆で感じて作っていきたいなと思っています。

-これからも、辻様はじめ、皆様のご活躍に期待しています!!

多様性を楽しみながら、生活の「脇役の品格」を楽しまれている辻様。

物事の本質を楽しまれている様子が伝わってくる気がしました。

↑辻様と、女性スタッフの伊藤さん

次回は、400年の歴史を持つ宇治の茶陶・朝日焼十六世の松林豊斎様にお話を伺います!

この記事を書いた人

おもてなしパートナーズ